認知症疾患医療センター
Q&A
私どもの基本戦略は【つなぎ】です。
つなぎ
【つなぎ】とは、当院と関連機関(かかりつけ医、かかりつけ歯科医、専門病院、地域包括センター、認知症初期集中支援チーム、介護・福祉施設、認知症カフェ、地方自治体など)が適切にかつ密接に連携し、患者さんはもちろんご家族の方も安心して地域で生活出来るように支援に努めることです。
この【つなぎ】を基本にして、より有効に当院の認知症疾患医療センター(以下「センター」とします)をご利用頂くため、Q&Aを作成しました。是非ご覧ください。
Q1.認知症とはどのような状態・症状を言うのでしょうか。
- 認知症とは、物忘れや認知機能の低下が起こり、日常生活に支障をきたしている状態です。
Q2.認知症を疑うのはどんな時ですか。
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認知症を発症すると、次のような行動面・心理面の変化が生じます。
- できている事→今までできていたことができなくなる(リモコン、家電の操作など)
- 無気力→何をするのも億劫がる
- 大声を出す→落ち着かず、無いものが見えると言ったりする
- 暴力をふるう→暴言や暴力をふるう
- 妄想を抱く・・・→物(金銭)を盗まれたと言ったりする
ただし、こうした症状は認知症以外の時も出現します。また、それは活動可能な場合もあります。そのため、正確な診断が必要となります。
Q3.家族としては、どのように対応すればよいのでしょうか。
- 認知症では、認知症による行動の変化により生活に支障が生じるため、周囲の方の援助が必要になります。そのため、認知症を見極めるためには「一人で生活ができるかどうか」という観点が大切になります。
認知症は、早期発見が重要視されている病気です。脳神経細胞が完全に死滅してない早期段階で治療を開始できれば、病気の進行をある程度遅らせることができます。
Q4.認知症かどうか心配です。センターで診てもらった方がよいのでしょうか。
- 認知症の早期診断・早期治療のためにも「おかしいな」と思った時は、早めに医療機関に受診してください。この場合、何らかの治療のためかかりつけの先生があればその医師に(必要に応じてかかりつけの先生からセンターへ紹介されます)、かかりつけの先生がいなければ直接センターへお電話ください。
- 受付時間帯:|平日9時から16時まで
- お問い合せ:|センター ☎ 023-681-2303
Q5.患者さんではなく、認知症のような状況を心配している方も相談して良いですか?。
- はい、どうぞお電話をお願いします。直接ご相談し、一番良い方法を考えましょう。
対象者を制限することなくご相談を受付けています。また、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、専門病院、地域包括センター、認知症初期集中支援チーム、介護・福祉施設、認知症カフェ、地方自治体などからのご相談も受付いたします。これも【つなぎ】です。
Q6.センターでの診察はどうなりますか(かかりつけの先生からの紹介を含みます)。
- センターの診療体制は次のとおりです。
- 診察医 |脳神経内科医5名(持ち回り制)
- 診察概要 |認知症疾患外来(完全予約制)、毎週月・水・金曜日(祝日は休診)、診察開始時間13時30分
- お問い合せ|センター ☎ 023-681-2303
Q7.診察当日の流れはどうなりますか。
- 診察当日の流れは概ね次のとおりとなります。ただし、診察からかかりつけの先生への再紹介まで日数がかかる場合があります。
- 受 付
新患受付窓口へ「認知症疾患外来予約です。」とお申し出ください。 - 診 察
問診→診察→検査→診断→説明→今後の相談→紹介状作成→かかりつけの先生等に紹介
※検査は頭部MRI撮影がありますので、撮影時には金属関係は外すなど注意すべき点がたくさんあります。検査の時に詳しくご説明いたします。
例)時計、眼鏡、入れ歯、カラーコンタクト 等 - つなぎ
同時にかかりつけ歯科医、専門病院、地域包括センター、認知症初期集中支援チーム、介護・福祉施設、認知症カフェ、地方自治体などとも【つなぎ】ます。ただし、こうした【つなぎ】は、ご説明を申し上げ、ご同意戴いた上でのことです。今後のより安心できる生活のためには積極的な【つなぎ】をご検討ください。 - 料 金
保険の負担割合及び診察内容により違いますが、およそ4千円から1万2千円のお支払いとなります。
- 受 付
Q8.センターでは認知症の治療を行うのですか。
- かかりつけの先生からご紹介いただいた場合で、かかりつけの先生が認知症治療に同意された場合は、かかりつけの先生に治療をお願いします。もし、かかりつけの先生に同意がいただけない場合は、山形病院で治療を行います。また、かかりつけの先生がそもそも不在の場合は、かかりつけの先生を探す努力をしながら山形病院で治療を行います。
Q9.センターでは入院診療は行うのですか。
- センターでは認知症と診断した責任があります。お困りの場合は、平日にお電話でご相談をお願いします。内容によって、山形病院の受診をお願いすることもあります。診察して山形病院で対応が困難な場合は、専門医療機関にご紹介します。もし、山形病院で対応が可能な場合は入院診療もあります。
Q10.センター受診後の次の対応は、どうしたら良いですか。
1)当人が他の医療機関へ救急で受診し、医師からセンターへ相談するよう指導された。
2)当人の症状等に不安があるので、かかりつけの先生以外にセンターからも助言を受けたい。
3)当人の介護に疲れており、又乱暴な動作暴言が出てきて困っている。
-
センターへお問い合せください。一番良い方法を相談しましょう。
- 受付時間帯:平日9時から16時まで
- お問い合せ:センター ☎ 023-681-2303
Q11.認知症に関して、センターとかかりつけの先生以外に相談先はありますか。
- センターでは、認知症患者当人、家族等が孤立しない支援が受けられるよう【つなぎ】を大事にします。
具体的には、認知症と診断がついた時点で、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、専門病院、地域包括センター、認知症初期集中支援チーム、介護・福祉施設、認知症カフェ、地方自治体などと情報共有し、孤立しないつなぎ支援を行います。
Q12.【つなぎ】を大事にする戦略ですることはわかりました。具体的に教えてください。例えば、なぜ歯科とつなぐのですか。
- 歯周病は軽度認知症(MCI)が進行したり、認知症が悪化しますので早期から治療が重要です。よって、認知症と診断された時は積極的に歯科の先生を御紹介します。必要性を御理解ください。地域包括センターも地域でケアを続けるためには必須です。必要性を御理解ください。
Q13.高齢者運転免許に係る認知症診断書発行はお願いできますか。
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はい、行っています。お電話でご相談ください。
なお、受診の際は運転免許センターのお知らせを持参するようにお願いします。
書類の提出期限を確認するためにとても重要です!- 受付時間帯:平日9時から16時まで
- お問い合せ:センター ☎ 023-681-2303
Q14.家族が主治医からうつの診断を受けている。でも認知症のような症状もあるので専門医を受診させたい。現主治医との兼ね合いをどうしたらよいか。
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山形病院認知症疾患医療センターにお電話でご相談ください。概ね2つ方法をご呈示します。
①主治医の紹介状を戴く前提で受診予約をお取ります。
②主治医の紹介状が難しい場合、そのまま受診予約をお取ります。
その場合、山形病院が主治医につなぐこともできます。
一番良い方法を一緒に探りましょう
Q15.認知症治療薬の現状
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認知症に根本的な治療薬はありません。
認知症に根本的な治療薬はありません。現存する薬は症状の進行を押さえることができるかどうかの程度です。
認知症は基本的に進行しますので今お使いの薬が体にあわなくなることもあります。
「お薬が合わないようだ」と感じた場合も山形病院認知症疾患医療センターにご相談ください。
Q16.睡眠と認知症の関係
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睡眠不足は、がん・糖尿病・高血圧・うつ病・認知症など、さまざまな疾病の発症リスクを高めることが、各方面の研究結果から明らかになってきています。
例えば、睡眠時間が5時間以下の人は8時間前後の人たちに比べて1.39倍、肺炎になるリスクが高かった(Sleep. 2012 )、睡眠時間が6時間以下の人は肥満、糖尿病、心臓病の有病率が高かった(Sleep. 2013)。
死亡率をみた報告もあります。睡眠時間が6時間以下の人は7~8時間より死亡率が2.4倍高かった(J Epidemiol.2004 )。睡眠時間7時間が一番死亡リスクが小さく、それより短くても長くても死亡リスクは大きくなった(Sleep 2009)。
睡眠はとても重要ですが、眠りすぎも良くないということらしいです。睡眠時間にもお酒と同じように適量があるようです。
夜の睡眠時間が確保できないときは昼寝で補うという手もあります。しかし眠りすぎはアウト。20分程度にしましょう。「そんなに都合良く起きられるわけないじゃん」と言う方にはとっておきの秘訣も。
昼寝直前にコーヒーを飲むと20分間後の眠気を押さえるようです(Clin Neurophysiol. 2003)。
Q17.県内で後期高齢者が多いところは認知症が多いのか?
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講演でお示したデータは2019年のある月のデータなので軽々な結論は差し控えたいと思います。
この断片的なデータで見る限り、後期高齢者の割合と認知症割合は関係がなかったということです。
今後さらに検証して参ります。大事なことは、よその県でも地区によって認知症発症率が異なることが報告されています。
こうなると地域造りに「認知症になりにくい街」という視点も必要になるかもしれません。
Q18.認知症とお酒、糖尿病とお酒について教えてほしい
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認知症について。
認知症疾患診療ガイドライン2017によれば、「アルコールは元来神経毒性があり、大量飲酒は脳を萎縮させる。
一方、適度の飲酒は認知症を予防することが報告されている。特に赤ワインの適量摂取は認知機能低下に対して予防的効果をもつと報告されている」と記載があります。
お酒は適量をお願いします。
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糖尿病について。
まず糖尿病に罹患している方は、生活・食事・運動等がうまくコントロールされていることが先決でしょう。
禁酒すべき状況なのか適量内で楽しんで良いのか、主治医と良くご相談をお願いします。
講演でお示した19万人の健診データ(Sci Rep 2019)は「新規の糖尿病発症」は何に関係するのかという検証です。
「新規の糖尿病発症」に最も貢献したのは「早食い」でした。そしてとても意外な事実もありました。定期的な飲酒、もちろん量は適量という条件ですが、飲酒習慣は「新規の糖尿病発症」とは関係がないという結果でした。
ということで一番関係する「早食い」対策は重要です。よく噛むと咀嚼エネルギー消費が増大します。
食物をお口に入れたら30回を目標に頑張りましょう。
なにしろ一番悪いのは「早食い」ですから。お食事もお酒もゆっくりと適量を楽しむのが良さそうです。